同人誌制作部数のアンケート集計結果をご紹介!

「トリオラボ」では2021年1/29~2/12にかけて同人誌の発行部数に関するアンケート調査を行いました。

この記事はアンケート調査の結果を元に、アンケートに回答くださった方がどんな風に部数を決めているのか、実際にどのぐらい刷っているのかを共有し、部数に迷っている方に参考にしていただきたく作成いたしました。

同人誌の発行部数に「正解」「普通」はなく、ジャンルや流行、漫画か小説か、一次創作か二次創作かなどで部数は大きく変わります。しかし最初の一冊などでは「発行してみないとわからない」というのもまた事実……そういった場合や、初めて同人誌を出すなどで全く部数の決め方がわからない方はぜひこの記事を参考にしていただけたらと思います。

ではアンケート結果をどうぞ!



普段どのぐらい刷ってるの?

普段どのぐらい刷ってるの?
最も多いのが30部、その次が100部ですが、続けて20部、50部と続きます。総じて、30部~50部という範囲が最多と言えそうです。続いて60部~100部のレンジが多く、中には800、1000部以上の方もちらほら……

一回で頒布し切るとは限らず「通頒用に多めに刷る」「後からハマった人のために多めに刷る」「来てくれた人にがっかりしてほしくないので必ず余るぐらい刷る」といった方もおり、同人誌に対するスタンスでも大きく変わって来るようです。

また「普段刷る数」とは言っても、もちろんジャンルの規模や小説か漫画かによっても変動します。次は過去に出した同人誌の最高部数を見てみましょう。



過去最高はどのぐらい?

過去最高はどのぐらい?
100部、300部、200部と100部刻みでランクインしています。勢いあるジャンルや合同誌、アンソロジーやオンリーの記念誌などは思い切って数百部ということも多いようです。

特にたくさんの方がかかわるアンソロジーは、それだけ読む人にも多く行きわたって欲しいということもあり、特別多く刷るのが慣例になっています。

それほど多くはないだろうと見込んで印刷したが全く足りず、通頒需要もあって再版を重ねロングラン……いつの間にか累計数百部というケースもあるようです。再版を繰り返すと割高になってしまうので、ある程度の数が見込めそうなら通頒分も含め、一気に刷ってしまうのも一つの手かも知れません。



一番最初に刷った同人誌の部数は?

一番最初に刷った同人誌の部数は?
最も多いのが30部で、20部、10部と続きます。できるだけ少部数でスタートしようと、印刷所が設定する最小部数で刷るという方も多いようです。中には1部という回答も……この世にたった一冊、自分のためだけに(あるいは誰かのためだけに)初めて作った本があるというのは同人誌ならではではないかと思います。

意外と多い「100部」ですが、オンデマンド印刷が普及し、少部数でリーズナブルな印刷が可能になる以前は「最小部数が100部~」という同人誌印刷所も多かったのも理由の一つです。

今でもオフセット印刷は最小部数が多めに設定されている印刷所も多く、一概に「100部からデビューしたすごい人がたくさんいるんだ!」というわけではないようです。

いつもどのぐらい在庫が残る?

いつもどのぐらい在庫が残る?
半数近くの方がほぼすべて頒布し切るという結果が出ました。読者の立場では売り切れていると辛く悲しいものですが、70%弱の方が全印刷部数の6~9割を頒布するということで、同人活動されている方の部数を決める際の「目」は非常に正確と言えます。

一方で、短時間ですべて頒布してしまったり通頒分もイベントで頒布し切ってしまったりすると「もっと刷ってもよかったんじゃないか」と思ってしまうことも……こればかりは経験を積むしかないのかも知れません。

コロナ後の頒布数は?

コロナ後の頒布数は?
2020年、世界中に猛威をふるったCovid-19はいまだ社会に大きな影響を与えています。それは同人誌や即売会にも同様で、即売会という頒布のチャンスが減ったこともあり、頒布し切れるケースは明確に減ったと言って良いでしょう。

一方で、同様に大きく変わったのが通頒需要。一回のイベントで大きく頒布し切って通頒に回すパターンから、通頒サイトなどへ長く掲載し、長期にわたって出ていくというパターンへの変化が見られた方も。オンラインイベントなども続々と開催される中で、同人誌も新しいあり方へ変わっていくのかも。



部数の決定方法で参考にしているのは?(複数回答可)

こちらの「部数の決め方」が最も気になる設問かと思いますが、「サンプルに対するpixivのブックマーク数」と「ツイッターアンケートの結果」がほぼ同数でトップとなっています。やはりいつも読者が見てくれている場所で反応をもらうのが最もポピュラーかつ簡単ですね。

続いて「サンプルに対するツイッターのいいね数」もダイレクトに反応がもらえるので人気です。その他多かったのはトリオキニ事前アンケートなどを利用し、その結果をもとに部数を確定するというもの。結果+α~で調整できるので極端に多かったり少なかったりということが少ない方法です。

だいたいの数字が事前に把握できる取り置きは、感染症対策として即売会で他者とやり取りする時間も減らすことができるため、積極的に採用していきたい方法でもあります。

自由回答欄は非常に多様な回答を頂戴し、それぞれが積み重ねてきた経験則や手法はすべて紹介したいぐらいに知見に富んでいました。その中でも突出して多かったのが「勘」というご回答です。

こちらもおそらく「これまで行ってきた同人活動の中から総合的に導き出される適正部数」ということかと思いますが、もはや特殊能力と言っても過言ではありません。



まとめ

部数は価格設定やサークルのかけた金額にかかわることで、非常にデリケートな話題です。そのために気軽に尋ねることができず、人づてにきいたり友達に教えてもらったり……というところから始めた方も多かったのではないでしょうか。

もちろん「あのサークルは〇部刷ったから売り上げが〇円で~」など、発行部数を勘ぐって噂するようなことをすべきではありません。発行部数にはそれぞれの事情や同人誌への思い、スタンスなどが反映されていて、そもそも「金銭」だけの話ではないのです。

この記事はたくさんの方のアンケート回答から作成した、より実態に近い「部数の話」となっています。気軽に訊ける友達が少ない、同人誌を始めてみたいが部数がわからない……「トリオラボ」がそんな方たちの助けになれば幸いです。

「トリオラボ」は今後も同人誌や同人文化、即売会などに関するこういった記事を作成してく予定です。気になったらぜひ引き続きチェックしてくださいね!

この記事を書いた人

原野 真里菜

原野 真里菜

小説書きでツイ廃。一日140字10ツイートできるけど一日1,400字書けないのが不思議。ツイートしてると原稿は進まない。体力づくりのため筋トレを始めた。