男性同士の恋愛模様を描くBL(ボーイズ・ラブ)。実際に読んだことはなくても、書店などでコミックやノベルの表紙を目にしたことがある人は多いでしょう。
「BLは苦手かな…」と食わず嫌いしていた人ほど一度読み始めるとハマってしまう魅力あるジャンルですが、本を買おうといざ書店に行っても、種類が多すぎて選び方に迷ってしまいがちです。
そこで、本選びを楽しめるようBL初心者が押さえておきたい用語や基礎知識をまとめて解説しました。
初心者の方でも読みやすいマンガや小説もピックアップしてご紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
BL初心者が絶対に押さえておきたい用語とは?
BL本を探しているときに、他のジャンルではあまり見かけない用語を目にしたことはありませんか?
慣れないうちはBL特有の用語に戸惑ってしまい、自分の好みと外れた作品ばかり買ってしまったというのは初心者あるあるの話です。
用語がわからない初心者であれば、まず基本的な用語から押さえていきましょう。
意外と知らないBLとやおい、ブロマンスの違いとは?
BLと混同されがちなジャンルとして、「やおい」「ブロマンス」があります。どれも男同士の関係を描いているため、書店でも同じコーナーに置かれていることが多いのですが、それぞれ傾向が異なります。
BLはボーイズ・ラブの略で、男性同士の恋愛や絆を描いている作品全般のことを示します。隠語として、ベーコンレタスという表現が用いられることもあります。
やおいは、ヤマなし・オチなし・イミなしの頭文字をとった略語です。BLがストーリーやラブ重視の作品が多いのに対し、やおいはノリやエロを重視した作品が多い傾向にあります。
ブロマンスは、男性同士の精神的な強いつながりを描いた作品を指します。性的な関係がなく、友達以上恋人未満のようなカップリングが多いのが特徴です。
初心者であればどんな男性同士の展開が読みたいのかをまずイメージしてみましょう。自分の好みにわかればリアル書店でもネットでも検索しやすくなります。
BL初心者でも迷わないカップリング探しに役立つ用語
カップリング探しで最初に知っておきたいのが「受け」「攻め」です。受けと攻めはセットだと考えましょう。
受けとは性交渉の際に肉体的に挿入される側のことを言います。受けと同じ意味で用いられる言葉として、ネコや右側という表現も使われます。
攻めは、性交渉時に挿入する側のことを指します。類語として、タチや左側という表現で言い表すこともあります。
性的な関係がないカップリングであれば、精神的に相手を受容する側を受け、より積極的に相手にアプローチする側を攻めと表すことが多いようです。
カップリングは掛け算表記で表されることも多く、「A×B」であればAが攻め、Bが受けであることを示します。
AやBには「オヤジ」「ショタ(かわいい外見の少年のこと)」といった外見を表す言葉や、「リーマン」「ヤクザ」「執事」といった職業属性、さらには「ワンコ」「ドS」といった性格属性の言葉が入ります。
様々な作品を読みながら、自分の好みのカップリングを見出していくのもBL初心者の楽しみ方と言えるでしょう。
BL初心者は何から読むべき?:商業BL作品の基礎知識
用語がわかったものの、お目当ての作品にたどり着くにはまだまだ情報が足りません。書店でじっくりBLコーナーの棚をチェックするのが気恥ずかしい初心者の人もいるでしょう。
これまでのBLの歴史をふまえた上で、代表的な出版社の傾向についてお伝えします。
BLの歴史:トレンドはどう変化してきたのか?
BLは、実は50年もファンに愛されてきたジャンルです。簡単にその歴史を振り返ってみましょう。
マンガで同性愛を描き始めたのは1970年代。竹宮恵子や萩尾望都らの少女マンガに端を発しています。1978年にはCOMIC JUN(現在のJUNE(ジュネ))が創刊。耽美系の同性愛作品の専門誌を中心に、商業BL作家が少しずつ増え始めました。
同性愛を扱うジャンルが爆発的に認知されるようになったのは80年代でしょう。少年アニメのパロディでやおいを取り扱う同人作品が急増し、同性愛をライトに描く少女マンガも一般的になりました。BLという言葉が一般的になったのも80年代です。
90年代からは少年マンガの二次創作がさらに加熱し、BLが同人の世界では人気ジャンルになりました。初のBL専門小説レーベルとして角川ルビー文庫が創刊されたのも90年代です。
2000年に入ってからは、BLの雑誌やコミック、小説が次々に生まれ、ほとんどの書店で必ず目にする人気ジャンルにまで成長しました。
BLを取り扱う代表的な出版社の傾向を知ろう
同じ商業BLでも、取り扱う出版社によって作品の傾向が大きく変わります。
たとえばJUNE(現在は休刊)を出版していたマガジン・マガジンが取り扱う作品は全体的にアダルト度が高く、性描写も激しいのが特徴です。
BL専門のリブレ出版もアダルトな作品が多めですが、よみきりCitronなど性描写控えめの作品を扱う例もあり、幅広い作品傾向を取り扱っています。
性描写が苦手な人は少女マンガなど一般向け作品も扱う出版社のBLレーベルを探すと良いでしょう。新書館やフロンティアワークス、角川などが代表例です。全体的にストーリー重視で性描写は控えめな作品が揃っています。
ノベルの場合も同様に、一般向け作品も取り扱う出版社のレーベルは性描写が少なく心理描写に重きをおいた作品が多いため、BL初心者でも読みやすい作品が多く安心して手に取ることができます。
BL初心者向けのマンガ・小説をピックアップ
初心者でも読みやすい作品を中心に、おすすめ作品をいくつかピックアップしてみました。激しい性描写がなく、ファンが多い人気作品ばかりです。
メディアミックスで楽しめるものがほとんどなので、ぜひ気になる媒体から楽しんでみてくださいね。
おすすめマンガ作品
まずおすすめしたいのは、「セブンデイズ」(橘紅緒・宝井理人:大洋図書)です。1週間の恋人関係を描いた学園モノの作品で、弓道部が舞台となっています。二人の距離感がさわやかに描かれており、男性同士の濃い描写が苦手な人でも楽しめます。
セブンデイズは2015年には実写化されており、原作の世界観を壊していない映画としてファンからも高評価を得ました。ドラマCDもあるので、音で楽しむこともできます。
セブンデイズ MONDAY→THURSDAY
大人の恋を楽しみたい人には「花は咲くか」(日高ショーコ:幻冬舎)もおすすめです。広告代理店のやり手ディレクターと美大生とがゆっくりと心を通わせていくストーリーは、繊細な心理描写で読者を物語へと引き込みます。
じれったいほど丁寧に進む恋物語は実写映画にもなっており、DVDで楽しむことができます。こちらもドラマCDがあるので、好きな楽しみ方を選びましょう。
花は咲くか
おすすめ小説作品
角川ルビー文庫の「タクミくんシリーズ」(ごとうしのぶ)は、男性同士の性描写が苦手な人でも読みやすいシリーズです。シリーズ累計500万部を突破しており、本編完結後もスピンオフが連載されています。
人間接触恐怖症の主人公が同級生の少年との恋をきっかけに自らの世界を広げていくストーリーは年代を問わず人気があり、ロングセラーとなりました。実写化やドラマCD化も展開されています。
タクミくんシリーズ
そのほかメディアミックスはされていませんが、ロボットとの切ない恋を描いた「ショートケーキの苺にはさわらないで」(凪良ゆう)や二面性のある人気アナウンサーと作家の不思議な三角?関係が楽しい「イエスかノーか半分か」(一穂ミチ)もBL初心者にはおすすめです。
ショートケーキの苺にはさわらないで
イエスかノーか半分か
まとめ
BLと一言でいっても作品の幅が広く、特有の用語も多いため、つい食わず嫌いをしてしまう初心者が多いのですが、少しでも興味があれば初心者向けのコミックやノベルから楽しんでみることをおすすめします。
今回紹介した作品以外にも、男性同士ならではの心理描写や骨太なストーリーを描写した名作がたくさんあります。
慣れてくれば初心者向け以外の作品もどんどん発掘していけるでしょう。あなたなりの楽しみ方をぜひ見つけてくださいね!