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ねほりんぱほりんで特集された「同人漫画家」とは?

ねほりんぱほりんで特集された「同人漫画家」とは?

話を聞きたくても聞けないようなきわどいゲスト達の壮絶かつコミカルな生態を掘り下げていく、NHKの人気番組「ねほりんぱほりん」。10月14日放送の回で「同人漫画家」が特集されるようです!

同番組では以前も「腐女子」や「コスプレイヤー」を特集して話題になりました。同人を知ってる人も知らない人も、ちょっと気になる同人漫画家の生態。今回も、ディープな創作の世界をこっそり覗いてみませんか?





「ねほりんぱほりん」とは?

「ねほりんぱほりん」とは?

「ねほりんぱほりん」とは「人形劇×赤裸々トーク」をコンセプトに、顔を出して話せないゲストから「根掘り葉掘り」ネタを聞き出すトーク番組です。

司会のYOUさんと山里亮太さんがモグラの人形に、顔出しNGのゲストはブタの人形に扮してトークを展開するので、衝撃の告白やどぎついネタも中和されて、なんだかコミカルな雰囲気に。



ねほりんぱほりんで特集された「同人漫画家」とは?

ねほりんぱほりんで特集された「同人漫画家」とは?

10月14日放送の回は「同人漫画家」が特集されます。番組にはいわゆる二次創作漫画で同人活動をする顔出しNGゲストと、特別出演として漫画家の赤松健氏、田中圭一氏も登場します。

そもそも「同人」とはどのようなもので、どんな活動をしているのでしょうか?



そもそも「同人」とは?

同人とは本来「志や趣味を同じとする者や集団」を意味する言葉で、美術や文芸で用いられてきました。現在においては、漫画やアニメ、ゲーム等のファンが作るパロディ作品やイラストなどのファンアートを指す単語になりつつあります。

「ねほりんぱほりん」に登場するゲストが活動する二次創作漫画というのは、これらのパロディ作品にあたります。ちなみに一次創作とは原作がないオリジナル作品を指しており、こちらは「文芸同人」と呼ばれることもあるようです。

番組でも取り上げられて「同人誌」については以下のページで詳しく解説しています。

同人誌とは?

「同人」にはどんなジャンルがある?

同人活動のジャンルは非常に幅広く、今回特集されている二次創作だけでも膨大な数に上ります。漫画・小説・国内外のゲーム・映画・ドラマなど、世に出ている作品ほとんどが同人活動の対象になっているといっても過言ではありません。

また、一次創作と二次創作のどちらにも属さない、評論やエッセイといったジャンルもあります。創作物の評論や工学、民俗文化、デザインなど、こちらもさまざまなジャンルで活動している人が大勢います。

作品を本にして頒布するのは「コミケ」をはじめとする同人誌即売会で、国内外から多くのファンが集まります。複数ジャンルに渡って活動する人も少なくなく、活動ジャンルは「好き」と「好奇心」の数だけあるといえるでしょう。



番組内容

番組内容


お金を払ってでも漫画を描く?同人活動にのめりこむ3名の同人漫画家

お金を払ってでも漫画を描く?同人活動にのめりこむ3名の同人漫画家 引用元:NHK ねほりんぱほりん
今回の「ねほりんぱほりん」に登場したのは、二次創作で活動するケントさん、やよいさん、はるみさん(いずれも仮名)という活動ジャンルの違う3名の同人漫画家。

3日間で50万人が参加するともいわれるコミックマーケットをはじめとする同人誌即売会には、彼らのような同人作家とその作品を買い求める同人ファンが数多く集まります。

壁サークルと呼ばれる、何千部も売り上げるようなサークルもありますが、6割のサークルは赤字で活動しているともいわれています。
同人漫画家の6割は赤字 引用元:NHK ねほりんぱほりん
自分の大好きなキャラクターを動かしたい、作品の行間を描きたいという気持ちや「私は作品をこう解釈しましたがあなたはどう?」という思いを1冊の同人誌に詰め込んで、ファンに手渡すためにお金や時間を注ぎこむ姿はネット上でも共感を呼んだようです。

原作の設定をどこまで生かすかも描き手次第 引用元:NHK ねほりんぱほりん
「作品は性癖のカルテ」「同人漫画家はファンでありプロモーター」という名言も飛び出しました。

作品は性癖のカルテ 引用元:NHK ねほりんぱほりん
同人漫画家はファンでありプロモーター 引用元:NHK ねほりんぱほりん
同人誌の売り上げで原作に課金したり、好きな作品の舞台になった土地を訪れて経済的に貢献したいという話題も、共感する方が多かったのではないでしょうか。


「創作のゆりかご」としての同人

「創作のゆりかご」としての同人 引用元:NHK ねほりんぱほりん
現在、同人業界において8割を占めている二次創作。作品やキャラクターへの愛情を同人誌というかたちで表すファンについて、プロの漫画家はどうとらえているのでしょうか。

今週の「ねほりんぱほりん」のゲストとして登場した赤松健氏田中圭一氏が、プロの漫画家と同人漫画家両方を知る立場から語って下さいました。

赤松健氏 引用元:NHK ねほりんぱほりん
同人という裾野がなくなると漫画界の頂点が低くなる 引用元:NHK ねほりんぱほりん
現在の同人界は、才能ある人材をプロへスカウトする貴重な場にもなっています。赤松氏が「同人は創作のゆりかごであり、裾野の広い山は頂上も高い」とコメントしていたように、創作全般を受け止める場としても同人は重要な位置を占めているようです。

田中圭一氏 引用元:NHK ねほりんぱほりん
プロになってからも同人活動を続ける漫画家も多く、田中圭一氏も「商業漫画の合間に同人漫画を描く」というサイクルを続けているそうです。


「誰かの地雷は誰かの主食」

「誰かの地雷は誰かの主食」 引用元:NHK ねほりんぱほりん
原作ありきの二次創作ですが「ねほりんぱほりん」顔出しNGゲストとして登場したはるみさんは「元ネタである作品を創った原作者は神様のようなもの」と語りました。

愛する作品やキャラクターを生み出した創造神として、原作者や公式を深く敬愛する気持ちに共感できる方も多かったようです。

原作者は神様 引用元:NHK ねほりんぱほりん
一方で、「ねほりんぱほりん」では同人ならではの問題についても話題になりました。二次創作は常に著作権に関する問題をはらんでおり、グレーゾーンの創作だといわれています。

同人ガイドラインを設けている作品も増えてきましたが、お目こぼしをしてもらって活動しているのだという意識を常に持っていることが必要だと感じているようです。

ファン同士で生じる、いわゆる「解釈違い」「地雷」についても話題が広がりました。原作を深く読み込み、自分なりの解釈を加えて作品を仕上げる同人誌。

作品への愛が深いゆえに、それぞれの考えが異なるケースも少なくありません。そんな時に彼らが大切にしているのが「誰かの地雷は誰かの主食」という言葉です。

自分にとって苦手な設定や作品も、他の誰かにとっては愛してやまないものであるかもしれない。それぞれを尊重し、穏やかに楽しもうという姿勢は、同人以外にも通じる部分があるとMCのYOUさんと山里亮太さんも感心していました。


原作を読み込み、同人漫画として再構築

原作を読み込み、同人漫画として再構築 引用元:NHK ねほりんぱほりん
今週の「ねほりんぱほりん」では、3名の同人漫画家が「浦島太郎」をテーマに二次創作漫画を披露していました。ラブコメ主体で活動しているケントさんは、乙姫と浦島太郎のイチャイチャ漫画を。

日常・ギャグ漫画を得意とするはるみさんは、浦島太郎の帰りを待っている彼女の心情を。BL中心で活動するやよいさんは、陸へ戻った浦島太郎と、それを追ってきたイケメン亀の恋の始まりを描きました。

「原作の設定をどこまで活かすかは描き手次第」という言葉通りの自由な解釈ですよね。ひとつの作品から無限の解釈と創作が飛び出すのも、同人漫画の魅力といえるのかもしれません。

「ねほりんぱほりん」では、田中圭一氏も番組キャラクターのウシ澤さんが登場する漫画を紹介していました。Twitterで全文公開されているので、BL描写に抵抗のない方は是非ご覧くださいね!


人生の一部としての同人

同人漫画家を続けながら、会社員や二児の母として社会人生活を送るケントさん、はるみさん、やよいさんの3名。多くの時間を同人活動に捧げる生活には、それぞれの苦労があるようです。

子どもに見せたくない漫画原稿をこっそり描くため、原稿を限界までズームして作業するというやよいさんの体験談には「あるある」と思った方も多いのではないでしょうか。

漫画を描き続けられる環境を手に入れるために、東大を卒業し仕事でも成果を出し続けるケントさん。同人活動のために東京ビッグサイトの沿線に住み、転職も果たしたはるみさん。

人生を決める大きな指針として同人活動があり、それが原動力にもなっているということがよく分かりました。


これからも同人を続ける?

MCからの「これからも同人活動を続ける?」という問いに、1冊の本を取り出したやよいさん。それは「トレペ感想」と呼ばれるもので、同人誌のページに薄いトレーシングペーパーを挟み、印象に残ったコマやセリフに直接感想を書いていくというものでした。
これからも同人を続ける? 引用元:NHK ねほりんぱほりん
自分で描いた作品のトレペ感想をもらうのは、同人漫画家として本当に嬉しいことなのだそうです。「普通に生きていて、こんなに褒められることはない」と語っていました。

はるみさんは「同人誌は同じものを好きな人がつながれるツール」として、同人活動のおかげで自粛期間も元気に過ごすことができたそうです。

ケントさんも「仕事も同人もいけるところまで続けたい」とこれからの抱負を語ってくれました。
3名とも口を揃えて「一度入ったら引き返せない」とその楽しさとやりがいを表現していたのも、とても印象的でしたね。


ねほりんぱほりんをみた視聴者の反応

ねほりんぱほりんをみた視聴者の反応

二次創作特有の交流に興味を持つ方も多かったようです。愛のこもったトレペ感想を渡されたら、きっと嬉しいですよね!

ゲストの方たちの二次創作における楽しみ方に共感する方も多数。違いを認め合う姿勢は同人以外にも通じるところがありそうですね。

「原作者は神様だからその神様が嫌がるようなことがあればすぐにやめる」という一歩引いた客観的な言葉は、おおむね好意的に受け入れられていたようです。

「人生を決められる基準がある」という言葉は、同人経験者やそれ以外にも深い印象を残したようです。

番組内で同人誌という言葉の持つ本来の意味を紹介してくれたことを、高く評価している方も。

「誰かの地雷は誰かの主食」という名言も噛みしめる方々も多かったようです。

性癖と愛が大爆発した同人誌を買って下さる方に、改めて感謝の気持ちを抱く同人作家さんたちも多数。



同人イベントにはトリオキニ

同人イベントにはトリオキニ

多くの同人漫画が頒布される即売会ですが、本をどれだけ印刷するかは作者の判断に委ねられています。そのため、せっかくイベントに行っても目当ての本が買えなかった……なんてケースも珍しくありません。

そこで注目を集めているのが、同人誌取り置きサービスの「トリオキニ」です!Twitter経由で同人誌の取り置きを依頼することができます。サークルさんによってはフォローや参加形態に関わらず、取り置きを受け付けてくれるところもあるので、是非チェックしてみてはいかがでしょうか?

時間に余裕を持って引き取りに行けるので、即売会会場での「3密」を避ける効果も期待できそうです。トリオキニで、より安全に楽しい同人ライフを送りましょう♪

まとめ

同人誌は同じものを好きな人がつながれるツール 引用元:NHK ねほりんぱほりん
今週の「ねほりんぱほりん」は同人漫画家をテーマに、3名の同人漫画家の生態や同人への熱い想いが語られました。書き手として活動している方も、読者の立場の方も共感できる内容だったのではないでしょうか。

自由な解釈と多様性、そして性癖を詰め込んだ1冊を作る同人漫画家たち。そこには自由かつディープな世界が広がっているようです。

この記事を書いた人

倉本 優希

倉本 優希

同人誌は読む専。即売会とアフターが好きで、お店のリサーチが得意。最近オンラインギフトの楽しさに目覚め、よく友人にスタバ券を送り付けている。