はじめて同人誌を作る人にとって、一番困るのは費用の計算ではないでしょうか? 同人誌を作ったことがある人のなかには、「思っていたよりお金がかかってしまった」という経験がある人も多いでしょう。
同人誌を作って頒布する場合、多くの同人作家の収支はプラスマイナスゼロか赤字です。 同人活動を楽しく続けるためにも、たとえ利益が出ないとしても大赤字は避けたいですよね。
そこで、意外と知らない同人誌のトータル費用について、コストの内訳や具体的な事例をまずご紹介します。 その上で、全体の出費を少しでも抑えるにはどうすればいいのか?すぐにでも活用したくなるコツを解説します!
目次
同人誌の制作~頒布にかかる費用とは
同人誌の制作から頒布まで、どのような費用がかかるのでしょうか? まずは全体の内訳と具体的な事例をチェックしてみましょう。
製本代
同人誌を作るための費用として一番イメージしやすいのが、製本代でしょう。 お願いする印刷会社や納期、印刷冊数、加工の内容等によって製本代は大きく変わってきます。
作りたい同人誌の内容について事前の見積もりを取った上で、コスパのよい印刷会社を選ぶとよいでしょう。
イベントで頒布する場合はイベント参加代
同人誌即売会などイベントで頒布する場合、イベントに参加するためのお金がかかります。 イベントに出展するための参加費だけではなく、次のような費用がかかる点にも注意が必要です。
- イベント会場までの交通費や宿泊費
- ブースに置く敷布や値札などを用意するお金
- ブースを目立たせるためのポスター制作費
- 売り子をお願いする場合は気持ち程度の謝礼
- 委託頒布をする場合は、委託費
せっかくイベントに参加したなら、他のサークルの同人誌を買いたくなることもあるでしょう。 イベントにかかるお金はある程度ゆとりをもって計算しておくことをおすすめします。
通販で頒布する場合は通販サイト利用代と梱包代
同人誌を通販で頒布する場合は、サイトによってそれぞれ通販の手数料がかかります。 利用料は売上に対するパーセントでかかることが多いので通販サイトの規定をあらかじめ確認しておきましょう。 そして、意外と忘れがちなのが、梱包代です。
- 水濡れを防ぐ透明なビニール袋(以下、OPP袋)
- 梱包用のテープ
- 本を保護する厚紙やプチプチ
- 発送用の封筒
上記のような梱包材を用意するための費用も計算に入れておきましょう。 同人誌の頒布を外部に委託する際にも本が傷まないようにする必要があるため、梱包材を手元に用意しておくと便利ですね
トータル費用の例
同人誌の頒布までにかかる具体的な費用を、事例ごとに計算してみましょう。 自分が同人誌を出す場合の参考として、次のケースの費用概算を参考にして下さいね。
【ケース条件】
- 東京近郊に住んでいる人が東京ビッグサイトでのイベントに参加する
- 新刊は2種。 A5/40P/30部×2/特殊加工なし
- 本を保護する厚紙やプチプチ
- ブースには敷布と卓上ポスターを用意し、売り子は自分だけで行う
項目 | 概算金額 |
---|---|
イベント参加費 (手数料含) | 7,000円 |
同人誌印刷費 | 23,000円 |
敷布・ポスタースタンド・値札 | 1,800円 |
ポスター印刷費 | 1,000円 |
交通費 | 1,000円 |
計 | 33,800円 |
各項目の費用については、あくまでも概算の目安です。様々な条件によって、算出した金額よりも高くなったり安くなったりするでしょう。 また上記の計算は最低限の費用だけなので、イベントで同人誌を買うお金なども考えるとよりゆとりをもって資金を貯めておく必要があります。
同人誌の印刷費用を抑えるための5原則
同人誌の制作から頒布までの過程で一番お金がかかるのは、やはり本の印刷費用です。 同人活動にかかる支出を減らしたいのであれば、いかに製本のコストを抑えるかがポイントになります。
印刷費用を抑えるために意識しておきたい5つの原則についてご紹介します。
1:納期が長いほうが安くなる
同人誌の印刷費用は、納期設定によって大きく変わります。 通常の納期は6~7日程度ですが、余裕を持った入稿ができれば各印刷所の早割やキャンペーンを利用でき、印刷料金に大幅な割引が適用できます。
逆に、余裕のないスケジュール進行によって納期を短縮せざるをえない状態になると、特急料金として印刷代は2倍以上になることも。 同人誌の制作コストを抑えたいのであれば、お願いする印刷所の早割条件を確認の上、ゆとりをもって原稿を作成しましょう。
2:中綴じのほうが無線綴じより安くなる
同人誌の本の綴じ方は、大きく分けて中綴じと無線綴じがあります。
- 中綴じ:ページの中央部分をホチキスで止める方法
- 無線綴じ:背を糊で接着して製本する方法
40ページ未満のページ数であれば、中綴じでの製本を選ぶとコストダウンが可能です。
中綴じのほうが丈夫な装丁に仕上がるため同人作家には好まれますが、ページ数の少ないおまけ本などは中綴じで製本することも多いため、選択肢として覚えておきましょう。
3:定形の用紙を用いた同人誌のほうが安くなる
同人誌の規格として一般的なのはA5判とB5判です。 A5判とB5判であればほとんどの印刷会社が取り扱っており、注文が多い分、費用についてもリーズナブルな設定になっています。そのほかA4判やB6判なども取り扱っている印刷所は多めです。
これらの規格以外の特殊サイズの同人誌も作ることはできますが、定形サイズを用いた製本と比べると費用が高くなります。 コストを抑えたい場合、同人誌のサイズはA5判やB5判にしておくことをおすすめします。
4:スミ印刷で特殊加工をしなければ安くなる
同人誌の印刷でもっとも高くなるのはフルカラーで箔押しなどの加工を付けた場合です。 逆に言えば、スミ印刷で特殊加工を一切行わなければ印刷費用は安くなります。
たとえば表紙をフルカラーにして、本文はスミ印刷。特殊加工をしない代わりに、紙の種類や厚さにこだわってよりよい見た目の本にするといった方法をとる人もいます。
おまけ本などは表紙もスミ印刷にするケースもあるようです。 自分の作りたい本のデザインと予算とのバランスを考えて、カラーと特殊加工の内容を決めましょう。
5:オンデマンド印刷のほうがオフセットより安くなる
印刷所のホームページやチラシを見ていると、オンデマンド印刷とオフセット印刷という言葉を見たことがあるかもしれません。
オンデマンド印刷とは、高細密のトナーによるレーザープリントのことです。印刷の原本をつくってから顔料インクで印刷していくオフセット印刷に比べると、原本を作らない分オンデマンド印刷のほうが安くなります。
オフセット印刷のほうがきれいなカラーで均一に仕上がりますが、製版コストがかかるため少部数の印刷には不向きです。 作ろうとしている同人誌の部数や自分のこだわりを考えて、それぞれの印刷会社で必ず見積もりをとっておきましょう。
梱包代や頒布費用を抑えるコツ
同人誌の印刷代以外にも、トータルコストを抑えることはできるでしょうか?
たとえば梱包や頒布にかかる費用を少しでも抑えられれば、その分を印刷代に回したり、好みの同人誌を買ったりするお金にできますよね。 印刷代以外で同人誌制作から頒布にかかるお金を節約するコツをまとめました。
一定量の梱包材をまとめて購入する
OPP袋や厚紙などの梱包資材は、ある程度の量をまとめて購入すると割安になります。 梱包材を購入する際には、包装用品を専門に取り扱っているショップや通販サイトの利用がおすすめです。
100円均一ショップなどで購入することもできますが、専門ショップのほうが扱っている梱包材の種類が多く、単価も抑えられます。
近隣のイベント情報のチェックとスケジュールの逆算
遠方のイベントで同人誌を頒布する場合、交通費や宿泊費の負担は非常に大きくなります。 近隣のイベント情報をチェックしておけば、交通費や宿泊費がかからなくなるので楽になりますね。
どうしても遠征したいイベントがある場合、飛行機や宿泊を早めに手配しておくとコストが割安になりますし、安心してイベントの準備ができます。 大型イベントの場合は年間スケジュールを逆算して、早めに交通や宿泊の手配をしておきましょう。
自家通販の方が手数料がオトク
通販サイトで頒布をする場合、どうしても気になるのが手数料です。 とらのあなやメロンブックスなどに委託する方法だと手間がかからない分、委託手数料は高くなります。
手数料の負担を減らしたい場合は、BOOTHやBASEなどでネットショップを立ち上げて自家通販してしまうのも一つの方法です。頒布手数料はかかりますが、ぐっと安くなります。
どのサービスを利用してもよいのですが、自家通販したい同人誌のなかにR-18作品が含まれている場合はBOOTH一択になるでしょう。
送料については、厚さ3cm以内の同人誌であれば郵便局のクリックポストで発送すると全国一律198円で送ることができます。 手書き不要のラベルを貼ってポストから手軽に投函できる上、追跡もついているので便利です。
BOOTH
まとめ
「同人誌をこだわって作りたいけれど、かかる費用はできるだけ抑えたい」そんなお金に関する悩みは同人活動にはつきものです。
同人活動はどうしてもお金がかかります。だからこそお金を使うポイントは選びたいですよね。 今回の記事を参考にぜひ支出を抑えて、同人ライフを楽しく続けて下さいね。
こちらの記事で印刷費用の安いおすすめの同人誌印刷所をご紹介していますのであわせて参考にしてください。
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