同人誌におすすめのフォントサイズはどれくらい?

同人誌を出すときに意外と見落としがちなポイントの一つが、文字の読みやすさです。 Webと紙とでは見え方が違うため、原稿を本にする際には必要に応じて製本後の読みやすさを考えたレイアウトに調整する必要があります。

マンガにせよ小説にせよ、どんなによい内容の本でも字が読みづらいと手にとってもらいにくくなりますよね。

「作品をWeb公開していたときは大丈夫だったのに、同人誌にしたら一気に見づらくなった」 そんな悲劇を防ぐためにも、同人誌に適したフォントサイズの選び方について基本の考え方を押さえておきましょう。

マンガ本と小説本、どちらのケースについてもご紹介しますので、ぜひ今後の同人誌づくりの参考にしてくださいね。




フォントサイズを考えるときの基礎知識

フォントサイズを考えるときの基礎知識
同人誌の読みやすさを左右するフォントサイズ。適切な字の大きさとは、どのような基準で判断すればいいのでしょうか? まずは字体の大きさを決定するときに知っておくと便利な基礎知識について、くわしくチェックしていきましょう。

フォントサイズの単位「ポイント」の考え方

フォントサイズの単位「ポイント」の考え方
同人誌に用いるフォントのサイズを決める場合、字体の大きさはポイント(Pt)という単位で表されます。 ポイントは、欧米の活字サイズをベースにした単位です。Microsoft WordなどのOfficeソフトを使っているときに、見たことがある人も多いのではないでしょうか。

地域によって若干の差がありますが、1ポイントは1/72インチにあたります。ミリで表すと、約0.3514mmです。 注意したいのは、文字入力をする際に便利な「ウィンドウ幅に合わせて表示」「ズーム」「ページ全体を表示」などといった機能です。

これらの機能を使っていると、実際に印刷されたときのフォントサイズと画面表示が異なるため、フォントの実寸が把握しにくくなります。 文字の大きさを確かめたいときは、印刷してみると間違いがありません。

行間や字間とのバランスが大事

行間や字間とのバランスが大事
文字を読みやすく整えるためには、フォントサイズだけではなく行間や字間のバランスも重要になってきます。 字体の大きさをポイントで表す環境の場合、行間や字間は同じくポイント単位で調整することになります。

行間や字間は、広すぎても狭すぎても読みにくくなります。伝わるデザインの観点では、適切な行間・字間の目安は次の通りとされています。

  • 行間…フォントサイズの70%程度
  • 字間…文字サイズの5~10%程度



どのフォントを選ぶかによって、1文字あたりのサイズは変わります。特にセリフの強調部分などで文字サイズを大きくする場合は、字間が狭くなりやすいので注意しましょう。


マンガ同人誌に適したフォントサイズ

マンガ同人誌に適したフォントサイズ
マンガ同人誌を作る場合、フォントの種類や大きさをコマ割に合わせることが多く、文字の効果と読みやすさを両立させる必要があります。 せっかく作ったマンガをパッと見て分かりやすいレイアウトにするために、文字入れのときに意識したい字体のルールについてまとめました。

同人誌のサイズに合わせた読みやすさを考えよう


同人誌で多用される規格はA5とB5ですが、製本サイズによって読みやすい字の大きさは変わります。 一般的に、商業誌サイズのB4だと14ポイントの字体を使うことが多く、同人誌のA5やB5だと8から12ポイントの設定が基本とされています。

同人誌の場合は商業本と違い製本時に原稿そのままの縮尺で印刷されるため、字体のバランスが気になったら実際にプリントアウトしてみることをおすすめします。 特にA5やB5以外のサイズで同人誌を作る場合は、できるだけ試し刷りをしてから文字の見え方をチェックするほうが安心です。

フォントの大きさで大声や重要性を示そう

フォントの大きさで大声や重要性を示そう
A5やB5の同人誌で基本となるフォントの大きさよりも文字を大きくすると、内容の重要性や音のボリュームの大きさを読み手に示せます。 逆に小声で話している状況や心の声を表したい時は基本よりも字体を小さく設定します。

ただし、8ポイントよりも小さくすると非常に読みづらくなるため、フォントサイズの下限は8ポイントとしておくことをおすすめします。 字体の大きさを変更した場合は、合わせて字間の調整を忘れず行いましょう。


小説同人誌に適したフォントサイズ

小説同人誌に適したフォントサイズ
小説の同人誌はマンガに比べると字体の大きさが1冊の中で統一されていることが多いため、一度体裁を決めてしまえばあとは悩まずにすみます。

ただし、小説は基本的にたくさんの文字を読者に読んでもらう必要があるため、最初の体裁決めで可読性を考慮しておかないと非常に読みづらい本になってしまいます。 読みやすい小説本にするために、字体の大きさやレイアウトに対する考え方をお伝えします。

8ポイント未満は避けよう


小説の原稿を作る際は、フォントサイズは8ポイント以上で書きましょう。 ほとんどが文字で構成される小説作品の場合、8ポイントより小さいフォントだと非常に読みづらく、読者に不親切なレイアウトになってしまいます。

出版されている商業の文庫本などを見ると、字体の大きさは8.5~10ポイントの枠内で設定されていることが多いようです。 また人名や難しい漢字にルビを振る場合は5ポイント程度の大きさにしておくとよいでしょう。本文を邪魔せず、読みやすさも保たれます。

紙面のバランスを意識しよう

小説本の場合、字体の大きさ以上に1行の文字数や行間設定が読みやすさを大きく左右します。 読み手を疲れさせないレイアウトを考えると、適切な文字数は1行あたり25字~45文字になります。

どうしても文字数が多くなる場合は、二段組にしましょう。二段組にする場合は、段の間は3文字程度のスペースを空けるとまとまりがよくなります。 行間の目安は先述したとおりフォントサイズの70%です。全体のページ数を抑えたい場合でも、読みやすさを考えて最低限50%以上の行間は確保するとよいでしょう。

小説の同人誌でよく用いられる規格はA5とA6(文庫)、新書版ですが、最も読みやすいレイアウトは一段組の文庫だと感じる人が多いようです。 フォントについても可読性を重視する人が多いため、1文字のサイズが大きな字体は避けたほうがよいでしょう。源暎こぶり明朝などの読みやすい字体であれば、多くの読者に好まれます。


まとめ

フォントサイズの調整は、同人誌の紙面を読みやすく整えるための大切なポイントです。

字体の大きさだけを見るのではなく、紙面全体のバランスや文字の効果を考えながら、最適なフォントサイズを決めていきましょう。

パソコンやタブレットなどの画面上ではイメージがつきにくいことも多いので、判断に迷ったら印刷してから見本となる商業本や他の同人誌と見比べてみるのがおすすめです。

細かな部分かもしれませんが、せっかくの作品をより多くの人に届けるためにぜひこだわってみて下さいね。

同人誌におすすめのフォントについて以下の記事でご紹介していますので、ぜひあわせて参考にしてください。

同人誌におすすめのフォント14選とその選び方

この記事を書いた人

原野 真里菜

原野 真里菜

小説書きでツイ廃。一日140字10ツイートできるけど一日1,400字書けないのが不思議。ツイートしてると原稿は進まない。体力づくりのため筋トレを始めた。