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同人誌関連の法律とは?著作権や無断転載について解説

同人誌関連の法律とは?著作権や無断転載について解説

同人活動をしていると気になるのは、著作権などの法律に関することではありませんか?最近では同人誌の無断転載が横行しています。知らない間に自分の作品が、他の人の利益として利用されてるかもしれません。

しかし、二次創作の同人誌は法律的にはグレーゾーンと言われています。黙認されている状態で発行しているものの無断転載を訴えることに、躊躇する同人作家が多いかと思います。

では、同人誌の著作権はどうなるのでしょうか?また、無断転載を訴えることができるのか気になりますよね。知っておきたい同人誌に関する法律、著作権の問題について詳しくお話ししていきます。また、無断転載を監視してくれるDLsiteについても紹介しています。

トリオくん
トリオくん

同人誌って著作権があるのかな?無断転載されたらどうしよう!

宮川 梨華
宮川 梨華

同人誌にも著作権はありますよ!転載対策についても見ていきましょう。







同人誌の著作権ってどうなる?

同人誌の著作権ってどうなる?
まず、同人誌に著作権はあるのでしょうか?気になる法律について、以下で詳しく解説していきます。なお、詳しく二次創作の著作権について知りたい方は、こちらをご覧ください。

二次創作とは?同人誌と著作権法について解説!


二次創作の同人誌にも著作権はある

二次創作の同人誌にも著作権はある
二次創作とは、原作のあるものを用いて創作することですよね。原作から創作したものでも、著作権は発生します。実は、抽象的なキャラクター自体には著作物にはあたらない、という判例があるのです。

「抽象的」というのは、キャラクターのもつ性格や設定などのイメージのことを言います。ストーリーなどの創作部分に著作権があるとして、無断転載をしていたサイトに損害賠償請求が認められた判例が、以下で紹介するものです。


同人誌の無断転載の判例がある

2020年に実際に行われた裁判に、同人作家が二次創作の同人誌の無断転載を行ったサイト運営会社に損害賠償請求を行ったものがあります。同人活動をしている人にとって、興味深い内容ですよね。

では、双方の訴えを見てみましょう。訴えられた会社側(被告)の主張と、訴えた同人作家側(原告)の主張は以下の通りです。

被告側の主張

  • 著作権を侵害して作成された同人誌が、自分の権利を侵害しているから訴えるのは、権利の濫用として許されない。
  • 「権利の濫用として許されない」とは、正当な権利を持っている人でも、権利を行使することで社会的概念から逸脱していると判断される場合は権利の行使が許されない、という意味です。



原告側の主張

  • 抽象的なキャラクターは著作物に当たらない。もし、同人誌が著作権の侵害をしていたとしても、法的救済を求めることはできる。



気になる裁判の結果は、原告側の主張を認め、損害賠償金の支払いが命じられました。その後、被告側が不服として控訴するも、判決は覆りませんでした。二次創作の同人誌に著作権があると認められた裁判でした。

判決文が気になる方は、以下をご覧ください。

東京地方裁判所の判決文

知的財産高等裁判所の判決文



同人誌の無断転載の対処方法

同人誌の無断転載の対処方法
では、同人誌の無断転載を防ぐ方法はあるのでしょうか?対処方法について詳しくお話していきます。


無断転載を防ぐには

無断転載を防ぐには
まずは、同人誌の無断転載を防ぐ方法です。発行者側からできることを紹介します。


同人誌に注意書きを入れる

同人誌を発行する際に、注意書きを入れるのがおすすめです。注意書きを入れる場所ですが、中表紙やその裏などの同人誌の初めのほうが良いでしょう。奥付に注意書きを入れると、読まない人が多いからです。

注意書きの部分には、ネットオークションなどの転売禁止などの他の注意書きも入れておくと良いでしょう。注意書きはあくまで「発行者からのお願い」という形になりますが、きちんと意思表示をするのが大切です。

注意書きの文言は自由に決めても良いですが、具体的な措置まで書いておくと無断転載防止に一役買ってくれますよ。

注意書きの一例

  • 無断転載は法律違反です。
  • 無断転載・複写・インターネットでの掲載は一切禁止です。
  • 無断転載を発見した場合は、1ページにつき○○円の支払い義務が発生します。




無断転載禁止のマークを作って表紙に印刷する

注意書きをしていても、そのページを飛ばしてネット上に掲載されてしまうこともあるようです。切り取りにくい部分に無断転載禁止のマークを入れるもの1つの方法です。表紙に印刷してしまえば切り取られにくいため、抑止力になるかもしれません。


もし無断転載を見つけたら?

もし無断転載を見つけたら?
自分の同人誌が無断転載の被害に合っているのを見つけた場合は、どうすれば良いのでしょうか?


サイト運営者に問い合わせる

まずは、無断転載をしているサイトに問い合わせる方法です。サイトによっては問い合わせから申し立てることで削除してくれることもあるようです。ただ、問い合わせても無視をされたりして取り合ってくれないことも多いのが難点です。

無断転載された際の一番初めの行動として、やってみてはいかがでしょうか。


Googleに通報する

続いては、法律違反をしているサイトをGoogleに通報する方法です。通報することでGoogleアカウントを停止させたり、検索結果に表示させないようにすることができます。検索に無断転載したページが出てこなくなれば、法律違反のサイトへのアクセスをある程度減らせます。

ただ、必ず対応してくれるわけではないのと、申請者の個人情報の開示が必須なのがデメリットです。必要事項の入力で削除申請が可能なので、申請してみる価値はありますよ。


通報は静かに行う

無断転載を見つけた際に気を付けたいのは、SNSなどで無断転載の被害を言わないことです。怒りに任せてSNSで「○○というサイトに無断転載された!」などと書いてしまうと、その投稿を見た人が「ここならタダで同人誌が読める」と知ってしまうことになります。

そうなると、法律違反のサイトに訪れる人が多くなり、無断転載した相手の収入源になってしまうからです。もし見つけたら、黙ってサイト運営者やGoogle、サーバーに通報しましょう。



DLsiteなら違法アップロードを監視

DLsiteなら違法アップロードを監視
魂を込めて作成した作品を頒布した際、知らぬ間に無断転載されるのは悲しいですよね。しかし、個人で法律違反のサイトを監視するのにも限界があります。そこでおすすめなのが、DLsiteでの販売です。おすすめポイントを2つ紹介します。


巡回して削除要請してくれる

DLsiteで作品を販売すると、インターネット上を巡回してもし無断転載されていた場合に削除要請をするサービスが付いてきます。追加料金は不要なので、無断転載が不安な場合にはDLsiteで販売をするのがおすすめです。


削除要請代行サービス

無断転載は自分で見つけたり、知り合いが見つけて報告してくれる場合もありますよね。しかし、個人で削除依頼をしても対応してくれないこともあります。DLsiteで販売している作品なら、削除要請代行サービスも行っています。

直接連絡を取るのに躊躇してしまう場合でも、代わりにやってくれるので嬉しいサービスですよね。

DLsite



まとめ

同人誌を作成するにあたって、気になる法律である著作権や、無断転載についてご紹介しました。上記で紹介したように、二次創作の同人誌であっても著作権が認められた裁判があります。

二次創作だからと二の足を踏んでいた同人作家も、法律違反のサイトに訴えを起こすことができる良い事例ではないでしょうか。無断転載は立派な法律違反です。法律違反のサイトがあまりにも多くて悩んでいるという同人作家は、法律事務所に相談するのも1つの方法かもしれません。

決められたルールやマナーを守って、楽しい同人活動にしてくださいね。

この記事を書いた人

倉本 優希

倉本 優希

同人誌は読む専。即売会とアフターが好きで、お店のリサーチが得意。最近オンラインギフトの楽しさに目覚め、よく友人にスタバ券を送り付けている。